親方を意味するマルケージ額縁

記録文書の少ないことで知られる額縁ですが、その種類を示す名称にもユニークなものが多く見られます。

親方を意味するマルケージという名称のついた額縁は、その製作者が建築家・装飾彫刻家でもあるアンドレーア・ディ・ピエトロといわれ、イタリアの都市ボローニャの西フォルミジーネで生まれ、ボローニャの聖堂などに収めた祭壇画の画枠を作っていたことで知られています。

関係した作品に自身の親方への敬愛からかマルケージという名称を付けていたようです。また同じイタリアの都市シエナのアントーニオ・バリーリも自身の工房で作られた作品(トンド額縁や平枠額縁など)に同様の名称をつけたと言われています。

これらはいずれも聖堂内部の各所に振るわれた優れた装飾技術を遺憾なく発揮した素晴らしい額縁に仕上がっており、その芸術性が見る者に感動を与えていることでしょう。