枠の装飾と絵画との差別化

サンタトリニテ聖堂の主祭壇画として制作されたチマブーエの代表作『荘厳の聖母』は金箔は絵画面の背景としてパンチングや線刻によって装飾が施されています。木枠の金箔には、そのような装飾は施されていないそうで、これは絵画との差別化を意味していると思います。ヴァザーリは、チマブーエは、ゴシックからルネサンスへの橋渡しをした革新的な画家であったにも関わらず、その弟子のジョットの名声に隠れて絵画の評価も時代への貢献もみえずらくなってしまっているようだ」と指摘しているそうです。これに関しては、額縁でも同じことがいえるのではないかという研究者もいます。絵画は近代化されて額縁の原型もチマブーエによって、形作られていたというのです。額縁そのものといってよい構造など、ジョット以前に作られていたと考えても良いと思います。