イコンは額縁を必要としたか

世界最古のイコンになぜ額縁が必要だったのでしょうか。それは、聖なる日に祭壇に置かれたり、触れたりすることができるようにしていたのではないかというのです。壁から自立した移動可能な聖像ということで、人々の祈りの対象になったりしていたのかもしれません。または、テンプロンやイコノスタシスのような聖所と至聖所を隔てるものだったかもしれません。このイコンの枠は、古代エルコラーノのフレスコ画の枠とは直接のつながりはないようですが、いずれも絵画が壁から自立するための木枠という点では同じだと思われます。額縁の存在が最古のイコンの周囲に描かれた枠にあるというのは大変興味深いことだと思います。イコンというのは、ギリシャ語のエイコーンを語源としています。画像や似姿を意味するものです。キリスト教美術では礼拝の対象として描かれた聖画像をいうそうです。